川久保 玲は、1969年に
東京で
COMME des GARÇONS(コム・デ・ギャルソン)を創設し、創業者かつ主要デザイナーとして半世紀以上にわたりブランドの美学と実務の中核を担ってきました。
伝統的な服のかたちや役割を解体することを通じ、未完成の裾や裂け、非対称な裁断、布地の再構成といった実験的手法で身体と衣服の関係を問い直すデザインを一貫して発表してきました。1970年代に国内で評価を固め、1981年のパリ・デビューを経て国際舞台で注目を集めた後も、コンセプチュアルなランウェイ演出や造形的なプロダクトを通じて独自の言語を磨き続けています。さらにメンズラインや複数のサブブランドの育成、2004年に始まった
ドーバー・ストリート・マーケットのような概念型小売の展開を通じて、制作・提示・流通の仕組みにまで影響を及ぼし、若手デザイナーの登用や多様なコラボレーションによりCOMME des GARÇONSの多層的な創造エコシステムを築き上げました。2017年のメトロポリタン美術館での大規模回顧展は、彼女の仕事がファッション史だけでなく美術的評価にも値することを象徴しています。