リチャード・ランバートソンは、
ドーン・メロによる再建期からトム・フォードによる本格的な再始動へ移る過渡期に、GUCCIのデザイン・ディレクターを務めた人物。1990年の就任後は、単一のコレクションや
ウィメンズウェアだけを率いるのではなく、ブランド全体のプロダクト開発とマーチャンダイジングに関わり、再ローンチを支えるデザインと商業設計の接点を担った。80年代に拡大したライセンス展開や商品構成を整理し、
GUCCI本来のレザーグッズ、バッグ、シューズ、ロゴや素材のコードを、統制された商品体系へ戻していく再建局面に位置づく。彼の役割は、後年の
トム・フォードのように強い作家性でブランドイメージを一新することよりも、既存の資産を現代の市場へ接続し、商品単位の完成度と売り場での一貫性を高めることにあった。GUCCIの成功した再ローンチに重要な存在だったと評価され、ブランドの復権を支える実務的な
デザイン責任者として機能した点が特徴。1992年頃にはトム・フォードがその役割を引き継ぐ流れとなり、ランバートソンの在任期は、再建のための編集と、スター・デザイナー主導の新時代をつなぐ短い移行期として整理できる。