エミリオ・プッチ(在任:創業 1947年〜1992年)は、多色の幾何学的プリントをシルクや伸縮性ジャージに配し、身体に沿うドレープで「動くプリント」を実現した。スキーウエアやリゾートウェア、スカーフから総柄ドレスへと展開し、プリントと色彩をブランドの中心コードとして確立した。
ラウドミア・プッチ(在任:1992年以降、2000年代以降はイメージ・ディレクター/副会長的役割)は、創業期アーカイブの保全とキュレーションを担い、LVMHとの再編期におけるブランドの近代的展開(ブティック戦略やアーカイブ活用)を主導した。
2000年代以降は外部デザイナーによる再解釈の時期が続いた。
クリスチャン・ラクロワ(在任:2002–2005)はプッチの色彩をラクロワ流の装飾性で再構成し、舞台的で豪奢な表現を導入した。
マシュー・ウィリアムソン(在任:概ね2005–2008)はプリントを短めのドレスや若々しいシルエットに落とし込み、ブランドの若年層への訴求を強めた。
ピーター・ダンダス(在任:デビューコレクション2009年〜2015年)は、ボディコンシャスなタイトシルエットやカットアウト、グラマラスな夜の装いを強め、
レッドカーペット志向の側面をブランドにもたらした。アクセサリー類の拡充も進められた。
マッシモ・ジョルジェッティ(在任:2015–2017)は、MSGM由来のポップな色使いとスポーティなエネルギーを持ち込み、アーカイブのプリントを日常へ落とす「モダン化」を図った。短期在任ながら商品化しやすい視点での調整が行われた。
2017〜2021年は常設のクリエイティブディレクターを置かず、社内チームと季節ごとのゲストデザイナーで運用された時期であり、シーズンごとにトーンが変動した。クリステル・コシェ(FW20)やトモ・コイズミ(SS21)らのゲスト起用は、アーカイブの断片的再解釈と話題性の両立を狙った施策である。
カミーユ・ミシェリ(在任:2021年9月〜)はアクセサリー出身の経歴を背景に、「joy/well‑being」を掲げてアーカイブプリントを現代のリゾートやデイリーシーンに再編集する方針を示している。LVMHによる2021年の完全子会社化後に就任し、アクセサリー強化やリゾート志向の再定義を進めている。
通底するのは常にプリントと色彩であり、各デザイナーはそのプリント表現を置く文脈(舞台的高級化・若返り・グラマー化・ゲストによる話題化・アクセサリー主導の再定義)を変えることでプッチの連続性と変化を担ってきた。