メゾン Christian Lacroix の創業デザイナー兼クリエイティブリーダーとして、1987年の設立以降から2009年の経営整理に至るまでブランドの美学と商品構成の中核を担った。在任中はオートクチュールを軸に、18世紀的な歴史的引用や民族的モチーフ、豊かな刺繍やフリンジなどの手仕事、強烈な色彩の重ね使いを特徴とする劇場的で装飾的な美学を明確に提示し、ル・プフ(le pouf)に象徴されるシルエットなどでメゾンの視覚的アイデンティティを確立した。商業面では1988年以降にプレタポルテやアクセサリー、バッグ、香水などのライン拡張とライセンス展開を進め、海外ブティックや小売チャネルを通じて国際的プレゼンスを拡大した。また舞台衣裳やオペラ衣装など舞台芸術分野やインテリアといったファッション外部のプロジェクトにも関与し、デザイン表現の領域を多角化した。一方で手仕事中心のクチュール志向と高コスト体質が商業的持続性の障壁となり、2009年の法的整理・事業再編によってオートクチュールと大規模なプレタポルテ活動は縮小し、以後は主にライセンス中心の運用へ移行した。
Jean Patou(パトゥ)におけるアーティスティック・ディレクターとして、クチュール・コレクションのデザイン統括と発表演出を主導した立場。若い経営陣のもとで1980年代前半に招聘され、Patouが保有するアーカイブと職人技を継承しつつ、歴史的要素を大胆に再解釈する方向へ舵を切った。プロヴァンス由来の色彩感覚や民俗的モチーフ、19世紀のバッスルやパフの語法を現代的に組み直し、ポフ(pouf)スカートやバルーン状ドレス、短めのヘムと重層的なパニエ構造といった演劇的なシルエットを確立した。刺繍・フリンジ・ビーズ・染色ミンクなどの手仕事を積極的に取り入れ、コレクションを舞台的に見せることでパトゥのクチュールに国際的な注目を回復させた点が在任期の特徴。こうした評価と商業的注目が1987年のラクロワ自身のメゾン設立へとつながり、ブランド側にも事業構造上の変化をもたらした。
ノルウェー出身のファッションデザイナー、国際的に活動するクリエイティブディレクター。パーソンズ(Parsons School of Design)でファッションを学び、1992年にパリへ渡ってジャン=ポール・ゴルチエのもとで長年アシスタントを務めて裁断・仕立て・プリント表現の技術を磨いた。2000年代初頭にロベルト・カヴァッリのチーフデザイナーを務め、エマニュエル・ウンガロを経て2008年頃からエミリオ・プッチのアーティスティックディレクターとしてブランドの若返りとプリント表現の再構築を推進。2015年にロベルト・カヴァッリのクリエイティブディレクターに就任し、2017年にパートナーのエヴァンジェロ・ブーシスと共にDUNDASを立ち上げた。作風は女性のフォルムを強調するグラマラスで官能的なイブニングウェアと色彩豊かなプリントが特徴で、グラミー賞や主要レッドカーペットの衣装制作など舞台衣装でも実績を持ち、オンライン中心のノンシーズン運営を採用したビジネスモデルでも注目を集める。
フランス出身、ミラノ拠点のファッションデザイナー。パリの服飾教育を経てKenzoのアトリエで実務を積み、1980年代にDiane von Furstenbergの招きでニューヨークでライセンス業務やコレクションのディレクションを担当した。1989年にミラノでメゾンを立ち上げ、Via Goldoniのブティック兼アトリエを拠点に“couture‑à‑porter”を掲げ、高品質なイタリア製素材と丁寧な仕立てを軸に少量生産で服を届ける。造形は斜め裁ちや流れるドレープを基調とし、南仏やマグレブの色彩感覚を取り込んだ洗練された日常性とエレガンスが特徴。編集・展覧分野にも活動領域を広げ、誌面や共著、展覧会の企画にも携わる。
Karl Lagerfeldは1933年9月10日生まれのドイツ出身でパリを拠点に活動したファッションデザイナー、写真家、クリエイティブ・ディレクター。1950年代から2019年までの半世紀以上にわたりシャネル、フェンディ、クロエなどで表現を再構築し、メゾンの近代化と商業的成功に寄与した。幼少期にパリで美術と歴史を学び、1954年の国際ウール賞で頭角を現してピエール・バルマンのアシスタントとして業界入りした。1958年以降はジャン・パトゥやクロエのコレクションを手がけ、1965年にフェンディの創造的指導を担って同社の毛皮とレザー部門を刷新した。1983年にシャネルのアーティスティック・ディレクターに就任してブランドの現代化を牽引し、1984年に自身の名を冠したレーベルを設立した。スケッチや写真、舞台演出まで含むビジュアル制作に深く関与し、黒のサングラスと白髪、ハイカラーの装いが象徴となった。2019年2月19日に逝去。